家族計画 〜絆箱〜



ソフト評価 100
オススメ評価 100
メーカー D.O.
原画 福永 ユミ
シナリオ 山田 一




愛情を"知る"物語




 ようやく5月の下旬から始めた40万ヒット記念企画の最後を飾る作品且つ、記念すべきレビュー作品100タイトル目と

 なったのが今回レビューするD.O.さんの「家族計画 〜絆箱〜」です。



 もう傑作中の傑作として誉れ高い作品だけにプレイした方も多いでしょう。 そうでない方も評判は聴いている人も居るかとは

 思います。 実際、今年は廉価版も発売されましたけどあっという間に品切れを起こす人気作品なのは実証済みですから

 今回のレビューは私の率直な感想と少し違った角度で書いていきたいと思いますので。



 物語自体は、様々は理由によって住む家や家族から見捨てられ、社会的弱者である7人の男女が擬似家族を

 形成して互いの苦境を補完しあって乗り越えていく相互補完計画『家族計画』の元に共同生活していく物語
です。

 しかし、明らかに無茶であり、互いにどこか溶け込めない相互補完計画は少しずつ崩壊していきます。 それにしてもその

 過程をここまで徹底的、かつ執拗に追っていくストーリーは今だかつて無かったでしょう・・・・・・主人公とヒロイン達の

 おバカで笑えるやり取りにさえ常に不安が付きまとい、間違いなく来る終焉を予感するでしょうね。 そして最後には

 家族計画の仲間が去っていくのと高屋敷家の焼失によって終焉を迎えます。

 そして、ヒロインとの2度目の共同生活によって本当の家族を手に入れる感動のフィナーレには涙なしでは見れないでしょう。



 この家族計画のキーワードの一つに間違いなくあるのが『知る』という事だと私は思っています。

 その顕著な例が主人公の沢村 司でしょうか。 最初は誰よりも家族計画に反対の立場を取っていたが擬似家族達との

 共同生活に身を置く事によって安らぎというものを『知って』しまったが為に家族計画に終止符を打とうとするに対して

 あれほど激怒したんではないのか。 家族に捨てられ、養われていた叔父の家での虐待で温もりを知らずに育った

 束の間に手に入れた掛け替えのない家族との安心できる生活を『知った』からこそ、口では否定しつつも必死に守ろうと

 したんではないでしょうか。 そして家族計画崩壊後に実は両親の命と引き換えに自分が生かされていた事を『知って』

 自責の念にかられたのも結局は何も『知らなかった』からに他ならなかったからでしょう。

 他のヒロインにしてもそう。

 春花は自分の生まれた境遇を『知り』つつ、絶対に逢えないと判っている実の母親と再会し孝行したい願っていて、そんな

 自分を救ってくれたの愛情を『知って』しまった訳だし、青葉は愛されていなかったと思っていた祖父の不器用な愛情を

 『知る』ことが出来たし、家族計画を通して本当の家族とは安心して自分の身を委ねる事が出来るものだと『知る』ことが

 出来たと思うし、末莉は家族というものが暖かいものだと『知りたい』からあれほど皆を仲良くさせようとしたり話しかけたり

 必死になっていたと思うし、真純にしても誰かに頼られる事が心地よいと『知っていた』からこそ家族計画に参加したんだろう

 と個人的には思います。



 私は常々『知らない』という事は不幸であり、罪な事だと思っています。

 知らないからこそ相手を傷つけ、罵ることに全く罪の意識を感じない・・・・・・家族計画に登場する虐待しているキャラの大半は

 そういった他人の痛みや苦しさを知らないが故に虐待を当然の如く行えるのでしょう。 別に同情する気もないですが虐待

 する側もある意味被害者なのかと思う時もありますけど、やはり相手の気持ちも知らずに傷つける人間は好きになれません。

 逆に主人公を含めた家族計画の面々は擬似家族を形成して共同生活をした事によって、互いの考えや想いを知ったから

 こそ相手を思いやる優しさを知ることが出来たからこそ幸せなラストを迎える事が出来たんじゃないかと私は思います。



 私自身、実の父親と兄貴が失踪して、20代の大半を膨大なマイナスを返済するために奔走していました。

 その事に対して未だに翻弄されている身ですから恨み辛みは嫌というほどあります。

 それでも私は自分自身にも罪はあると思っています・・・・・・もし、2人の心情を少しでも理解していればこんな事には

 ならなかったのではないかと考えているからです。あの時こうしていれば、とつくづく考える時もありますが覆水盆に帰らず。

 既に手遅れです。

 私は4人家族だった時もさほど幸せだと思っていませんでした。今から思うと幸せだったのかもしれません。

 結局、私も知らないのですよ・・・・・・幸せという事を・・・・・・・・・・・・。



 なんだかカミングアウトか人生の懺悔をしているみたいなので話を戻しますが、結局何が言いたかったかと

 いうと、知らないという事は凄く不幸だということでしょうか。

 もし、ほんの少しでも相手の気持ちや痛みを理解できていれば他人を傷つけないでしょう。 勿論、全く傷つけずに過す事は

 不可能ですが、自覚してやったことと、無自覚のそれとは重みも罪の意識も全然違うでしょうから。



 ・・・・・・どんどん話が脱線していきそうなのでここらで強引に締めますが、もし家族計画をプレイしていない方がご覧になったら

 是非ともプレイしてみてください。そしてこの作品から何かを得られたならそれは間違いなく貴方の人生はほんの少しかも

 しれませんが幸福になると思います。

 もし、プレイしても別に何も感じなかった、面白くなかったという方が居るなら仕方ないと思います。が、それはある意味幸福な

 事かもしれません・・・・・・何も知らないということが如何に恵まれているか、幸せな事か少しでいいので考えてみてください。



 少なくても私は家族計画をプレイして幸せになりました。

 もし20代の終わりにこの作品に逢えなかったら今、この瞬間に生きていなかったでしょう。

 生きていく尊さと大切さを知ることが出来た家族計画は私の中では不朽の傑作です。



 少しばかり私事が入りましたが、100作目のレビューに相応しいタイトルでした。








シナリオ 25

 今更言うまでもなくシナリオライター山田一の最高傑作。

 これ程までに喜怒哀楽を自由自在に操れるテキストとシナリオを書き切った才能には
 ただ感服するしかないでしょうね。 もし、これが「加奈」のように暗鬱で泣かせるだけの
 シナリオならここまで評価はしなかったでしょう・・・・・・家族計画における最大の評価する
 点はちゃんと笑わせてくれた事。 ある漫画家の方がテレビで語っていた様に
 「泣かせたり、笑わせる事を自由自在に出来るのは稀有な才能」と言っていましたが
 その通り!

 終焉が来ると判っている相互補完計画を最後まで楽しめたのはキャラクター達の
 ギャグやおバカな漫才が楽しかったからでしょうね。常に崩壊する危惧があるシナリオが
 最後まで持っていたのは間違いなく笑いというエッセンスがあったからに他ならないです。

 当然ながらテキストも並々ならないものがありました。
 膨大なテキスト量に半端でない濃密な質は他のエロゲーでは間違いなく見られない
 ものがありました。
 たとえテキストだけ抜き出して一冊の本に纏めても凄く面白いものになると
 思うくらいに濃い作品でした・・・・・・実際、十数回プレイしていても全く飽きないし、
 これだけ繰り返しプレイした作品は他にないですからね。

 とはいえシナリオとテキストだけではなくキャラクター設定も限りなく完璧。
 これだけ登場するヒロインが全て魅力的なのは例がない位でしょう。やはり「家族」という
 テーマだけあって一人一人の設定が深いだけあって感情移入の仕方も通常とは桁違い
 でしたね〜♪  しかし、そのキャラクターで最も感情移入度が高かったのは主人公
 だったのがこの作品の最大の勝因だったと思っていますがw 

 それに忘れてはいけないのはこの作品が従来のエロゲーにありがちな恋人同士になると
 いうラストではなく、家族と幸せになるというコンセプトが貫かれていたのが斬新で尚且つ
 最も共感できる部分ではなかったでしょうか? 

 あと音声については色々と物議があるようですが私は殆ど違和感はなかったです。
 あえて言うならの声が銀河英雄伝説ロイエンタール元帥の中の人だったので
 ギャグとか言うと素で吹きそうになりますがw


原画・CG 25

 原画担当は福永ユミさん。
 もう文句なしに可愛い絵でしたし、何よりキャラクターに全く違和感なかったのも良かった。
 唯一残念なのは絆箱で追加された脇役キャラの絵が違う方の担当だったことか。
 手抜きというと酷いですけど、あまりに違いすぎて少々驚きましたが(^^;;

 あとHシーンは流石にシナリオ重視なだけあって数も量も少ないですがそんなものは
 些細な問題ですよ!
 もう純粋に物語を楽しむなら十分だと思います。


音楽・BGM 25

 おそらく中期 I've の最高傑作はこれでしょう。
 これほど作品のイメージを損なわず相乗効果が強力なのは後にも先にもこれだけ。
 あとBGMを聴いただけで泣いてしまうのもこの作品だけ(ぉ
 特にED曲の「philosophy」がねぇ・・・・・・もうヤバい・・・・・・あのクライマックスと歌詞の
 内容のシンクロ度は異常と言うくらい強烈過ぎですよ〜。
 未だに私のベストチューンの一つに数えるくらい良い曲なので聴いてみる価値はありますよ。

 ・・・・・・唯一ケチをつけるなら家族計画のサントラも発売されていますが、これが忌まわしき
 かのCCCDなので音質的にもイマイチなのが残念でなりません。


システム・操作性 25

 絆箱で新たに追加されたOPムービーも非常に美しかったですね〜♪
 機能的にも問題なし、不具合もないので今回は無条件で満点です。


オススメ度 100

 これをやらずに何をプレイする気なの?と本気で問いたくなるほどの作品なので
 とりあえずプレイしてみる事をお勧めします。そうすれば今までの価値観とかをひっくり返す
 ぐらいの衝撃が体験できるでしょう。

 個性的なキャラクターのやり取り、腹がよじれるぐらい面白いギャグ、そして泣きそうになる
 エンディング・・・・・・全てをひっくるめて"傑作"の名に相応しい作品を味わえますよ音符

 問題はやや入手しづらい点ですがお金に余裕があるのなら多少高くても買うべき。
 他の作品は後回しにしても是非とも体験して欲しい作品の筆頭なので積みゲー売ってでも
 プレイしてください(何


My Favorite's --

 全てのキャラクターを愛していますが何か?
 と言うぐらい嫌いなキャラクターなんて居ませんでしたね。誰が欠けてもこの物語は成立しな
 かったと思いますから・・・・・・。

 あえて言うなら主人公の沢村 司を。
 最初はスレたありがちな主人公ながらも家族計画を通して文字通り、一回りも二周りも
 大人へと成長して、あれほど憎み、そして求めていた家族を手に入れるラストには泣かず
 にはいられなかったです。


 
備考 --

 4ヶ月近くかかってようやく40万ヒット企画も終了しましたー♪
 気がつけば50万ヒットも超えているのがちと痛かったりしていますけど(ノ∀`) アチャー
 記念企画の最後を飾るに相応しい家族計画をプレイできた事は光栄でした。

 それにしても今後は家族計画を超える作品は現れるのでしょうか?
 山田一氏も活躍していない現状では望むべくもないですが・・・・・・それでも未だに
 エロゲーをプレイしている私はきっと家族計画を超えるような作品を求めているのでしょう。

 もしサイトの運営を続けて100万ヒットの時にそんな作品と巡り合えたなら、きっと幸せな
 事なんでしょうね。

 これからも当サイト「れ・ざむる〜ず」をよろしくお願いします。<(_ _)>






2005年9月13日 草薙静流



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