こなたより かなたまで

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ソフト評価 90
オススメ評価 95



〜 いつか辿りつく彼方まで 〜


素晴らしい。

このこなたより かなたまで(以下こなかたと略)」をコンプリートした時の正直に思った感想です。
本当に買って良かった。
そしてプレイして幸せだったと言える作品はここ最近では今回のこなかた以外なかったと思う。

正直に言ってしまうとこなかたを購入するに至った動機は I've sound とのコラボレーションが最大の理由でした。
そして今までにないF&Cのカラーにない雰囲気を纏った作品とは思っていましたが、ここまで凄い作品に
仕上げてくるとは思っていませんでした。
結論を言えば、I've sound を抜きにしてもかなりの傑作ゲームでした。当然、抜きで考えても高評価なのですから
入れて考えたら今年プレイした作品ではベスト5に入る大傑作です。

いつもなら、ここでシナリオの内容に触れるのですが今回はなしの方向で。
何故なら、もし私のレビューを読んで購入しようとする人がいた場合、内容を知ってしまうとかなり凹みます。
プレイした人なら理由はお判りのことだと思います。
このこなかたにとって主人公の設定が最重要のキーであり、魅力だからです。
事前にOHPなどをご覧になった人なら、何故主人公について深く触れていなかったかプレイ30分で理解しました。


なんという主人公の設定の重さ!

そして本作品におけるテーマの難しさ!!



この設定とストーリーを作ったシナリオライターの力量も凄いが、こなかたの世界観を壊さず
キャラクターや背景を書いたグラフィッカーや原画家、音楽を担当したI'veの実力。
正に製作に携わったスタッフのコラボレーションの真価を発揮した傑作
言ってもよいでしょう。

・・・・・・確かにこなかたには過不足しているものは多々あります。
シナリオのボリューム不足、Hシーンの少なさ、
イベントCGが少量
など数えればきりが無いほど有ります。
それでも私はこの作品が傑作と言いきれるだけの魅力が備わったゲームだと思う。





▽ シナリオ・・・25 


このこなかたにおける最大のテーマであり設定でもある「生きる」「生きていく」という人間にとって
最大のテーマの
「生死」を扱っている
だけにとにかく重い

特に序盤で主人公の境遇が徐々に輪郭を帯びて露見してくるストーリー運びの巧さは最高。
主人公の抱える圧倒的な絶望、それを知っている人間の苦悩、知らないが故に突き放されてしまう孤独感、
一人で生きて行く辛さ、でも誰かを欲する想いの深さと強さ・・・・・・。
人間が一生で経験する事を見事なまでにシナリオに練りこんだ作家さんは見事な手腕には感動します。

それにしても主人公の抱える問題は・・・・・・。
私がこなかたをプレイして怖いと思ったのが主人公の感情でしょう。
主人公に突然降りかかった「問題」に最初こそ絶望していたのが、やがて絶望や悲しみを通り越して「笑う」ことが
出来る主人公の強さと絶望の果てに得た達観した境地は凄いというより怖かった。


私はよく主人公の立場になったらどう行動するか考えるようにしてますが、こなかたの主人公だけは
同調して考えられなかった。こればかりは無理でしょう・・・。


さてゲーム本編の話をするとシナリオ自体は決して長くはないです。
本気を出せば1日とかからずクリアー出来る短さです。それだけにこの重い設定でシナリオを作った作家の技量は
並大抵ではないでしょう。

あと良かったのはゲームにおけるエンディング。
もし安直に「生死」というテーマに沿ってエンディングを作ってしまったら、私はここまで評価しなかったと思う。
いい意味でユーザーに託して終わったエンディングは感動しました。

声優に関しても良かったです。個人的にはいずみちゃんの声と佳苗の声が好みです。



▽ グラフィック・・・20 


これも文句は無い十二分な高レベルの出来。
減点理由はHシーンが少ないからです・・・・・・流石に各キャラ1つずつとは・・・・・・。
あとタンのHシーンがなかったのは痛かった・・・・・・やっぱり○学生はまずいか(笑)。
ん?! でも「たまきゅう」ではヤッていた様な・・・>マテ

原画家のしゃあさんは完全に私好みの原画ですので嬉しい限り。
個人的にはクリスの食事中のCGが好きです。肉食風のギザギザ歯が特に(笑)。

背景も丁寧ですし、標準をクリアしてます。ここら変は流石F&Cだと思う。



▽ 音楽・BGM ・・・25 


EDは最高です。


先に言ってしまうとOPとEDにI've soundを使用したのは最高にして最強の選択でしたね。
エンディング曲の「こなたより かなたまで」が流れたとき、私は本気で泣いてしまった。
このゲームのストーリーに合った郷愁を想わせる歌詞とメロディはほとんど反則。

当然、OPの「Imaginary affair」もかなりの出来栄え。
ここまでOPとEDの曲の出来がよくて、しかも作品とマッチングしているのは「KANON」「家族計画」以来じゃないかと。
これだけでも買って良かったと思います。



▽ システム・・・20 


システム面は多少文句を付けたいところがあります。
前回のレビューでも書きましたが、プロテクトにAlpha-ROMは使って欲しくなかった・・・。
不安定感が拭えないシステムはユーザーの不安感を煽るだけですので・・・。

あとは過去ログを見るときに音声が再生しない事。
折角だから台詞も一緒に聴ける仕様にして欲しいです。

逆に面白いのはこのこなかたはビジュアルノベル仕様でゲーム中の台詞やテキストが縦書きに
出来るのは結構楽しめました。



▽ オススメ・・・95


これだけの内容にも拘らず、お値段は通常より安いのはお買い得感が強いです。
まあ、CD-ROM一枚だけのゲームだから妥当と言えばそうでしょうが・・・。

あと買うなら必ず初回版を。
オリジナルサントラが特典で付いてきますので。



▽ My Favorite's


やはり、こなかたはストーリーを堪能して欲しい作品。
純粋にシナリオを楽しんでください。そうすれば主人公の気持ちが痛すぎるほど味わえます。

シナリオで言えば、どれも良かったと言うしかないなあ(汗)。
その中でも際立ってよかったのは佳苗シナリオとクリスシナリオでもあるトゥルーエンディング。

佳苗の想いの強さは純粋に凄い。
主人公に邪険にされて絶望しても何度でも立ち直って食い下がり、追いかける姿は感動してしまう。
名シーンは主人公に結って貰ったお下げを主人公によって解かれてしまう場面。
あの場面の佳苗の絶望感は痛かった・・・。

トゥルーエンディングはコメント回避で。やっぱりプレイして味わってください。


あとは言うまでもなくI've sound使用のOPとEDの2曲。
いいから黙って聴け。




▽ 後 述


このこなかたとその前に発売された「たまきゅう」を買うまでは、私の中ではF&Cは「終わった」メーカーだった。
ここ2,3年のリリースされた作品を見てもパッとしたものがなく、ブランドイメージで作っていた駄作ばかり
辟易していた私を満足させるゲームはもう2度と無いと思っていました。

しかし、こなかたからは今までにないシナリオ重視の姿勢と自社ブランド以外の人材やアーティストを取り入れる
方向
に来ていて、何かが変化してきたと感じている。
これがどのような結果になるかは読めませんが私は歓迎しますね。


あと書き忘れがあったので少し書いておきます。
このこなかたはジャンルでいえば鬱ゲーになってしまうのでしょうが、
私が以前レビューした「天使のいない12月」も同じジャンルになってしまいますが
両者のイメージはかなり両極に位置していますね。

この二つの作品の本質的な大きな違いは「生きていく」事を切望しているかいないかの違いでしょう。





追記

この「こなかた」をプレイして感じたのは「ああ、『わたしのありか』に似ているなぁ」というのが最初の印象でした。
「わたしのありか」もシチュエーションは違いますが、やはり「生きる」という事を考えさせてくれた作品でした。

まあ、ぶっちゃけ言いますと「わたしのありか」の主人公はこなかたと天使のいない12月の主人公を
足して2で割ったような性格です。


私的には結構名作(注1)だと思っていますので、お暇な方は遊んでみてくださいな。



※注1 正直全然ヒットしなかった作品。システムの不具合もあって難易度はかなり高め。
     しかも絵的に好き嫌いはかなりでそうな作品です(笑)。
     それでも設定はかなりシリアスでトゥルーエンドまで見ると泣いてしまうでしょうね・・・。


03' 12月26日 静流 




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