天使のいない12月

メーカー / Leaf                        ジャンル / 恋愛ADV

ソフト評価 80
総合評価 70

矛盾(パラドックス)に満ちた作品ですが・・・・

このサイトを立ち上げて幾つかのレビューを書いてきましたが、これ程評価の難しかった作品もありませんでした。

私の過去プレイしたゲームの中でも無かった位、一種独特の世界観を持ったゲームでした。


当初、この「天使のいない12月(以下、天12と略)」はかなりの評判になった作品。なぜなら、作ったメーカーが

業界の最大手になりつつあるLeafさんである事、しかも今までと異なる鬱ゲーというジャンルでの作品であることは

私のみならず、全てのユーザーに驚きを持って迎えられたのはよく憶えている出来事でした。

後述で書こうと思っていますが、正直に言ってしまうと私は「天12」はまったく期待していませんでした。何故なら

前作、前々作の「うたわれるもの」「Routes」があまりにも私の嗜好にあわない作品だったからです。もっと率直に言えば

つまらなかったという事。この2作で私は、ほぼ完全にLeafは「終わった」メーカーとして認識してしまいました。

しかし、「天12」をクリアーして少し認識を改めなければならないと感じることが幾つかありましたが、後ほど書かせて

もらいますので今はレビューに入らせてもらいます。


さて、大まかなストーリーですが簡単に説明すると・・・

主人公は日常に価値が見出せず、生きるのすら億劫な性格。しかし死ぬのすら面倒と言った具合で日々を過ごしていたが、

ちょっとした偶然でクラスメイトである「栗原 透子」と肉体関係を持ってしまう。それを契機に色あせていた日常が

動き出す・・・。



まずこのゲームをプレイして気になっていた点が2つ程あったので言わせて貰います。

1つ目・・・主人公及びキャラクターの性格

なんていうか鬱陶しいやつですね、コイツ。このゲームの設定だと高2か高3の筈ですが、精神構造は思春期を迎えた

中学生並み。
特に刹那的な台詞が多くて感情移入しづらいので閉口しましたよ。特に透子と会えば、「セックス」

「ヤラせろ」しか言わない主人公にムカつくことが多かった。このことは他の登場人物にも言えますが、メインヒロインである

透子を除いてもまともな思考を持っている人物が少ないです。このゲーム中、唯一まともな人はケーキ屋のオーナーのおっさん

くらい。

このゲーム、当初言われた鬱ゲーの要素ははっきり言って少ないですね。どちらかと言うと鬱陶しい人間の多いゲームです。

2つ目・・・ストーリー


消化不良の一言。余りにも短すぎなんですけど・・・・・・。おそらくこの「天12」は映画的な手法を取り入れているんだろうなと

思われる部分が幾つか見受けられます。特に各ヒロインのエンディングは正に映画的にユーザーにその後の物語を想像させる

終わり方になっています。が、そこに至る経緯や説明、それまでに起きた問題等が何一つ無い事はかなり不自然な上、プレイ

している側から見れば納得できない事が多すぎのような気がするんですが・・・。

私に言わせれば映画的にユーザーに想像させる手法というより、1クール(13週)の連ドラが7,8週で打ち切りになり、いきなり

エンディングになった様な終わり方
だった。

全体的にみても一人頭の攻略時間が2時間少々ではボリューム不足も甚だしいです。長編ストーリを期待して買った人はまったくの

拍子抜けでしょうね。これが悪いとは言いませんが・・・。


ここまで書いていたことはあくまでわたしが気になっていた事ですので、「これがいいんだっ!」と言う人に逆らう気は毛頭ない事を

事前に言っておきます。私が主に気になっていたのはストーリーとシナリオ関連の部分だけ。それ以外の部分は、実は今年最高の

クオリティーを誇っていると言っても過言ではないでしょうね。

CG、音楽、演出、システムのどれをとっても、「流石は天下のLeafだなぁ」と私を感動させてくれる出来でした。「うたわれるもの」あたり

から特にCG面が強化されてきた感が強かったですが、「天12」は全体的に大爆発していますよ。もちろん、細かい不備等は多少

有りますが、それを補う物は数え切れないほどあります。

それだけにシナリオ等の中身が勿体無いほどの出来だったのが悔やまれます。これでシナリオが完璧なら今年最高のゲームになって

いてもなんら不思議ではなかったのになぁ・・・・・・・・(つД`)


<シナリオ> 10

言いたいことは↑で語っていますが、補足的になります。

今回シナリオ面は私の嗜好とは相容れなかったので点数は低めになっています。それ以外で一番評価できるのはなんと言っても

Leafさんでは初めてのフルボイス仕様だったこと。正直、「こみっくパーティー」以来のボイス仕様なのは驚いていますが・・・。

「こみパ」のときも思いましたが、声のキャスティングは最高でしたね。ただ、シナリオが暗めなのでどうしてもネガティブな台詞が多くて

折角のフルボイスも私的に生かせれてないなぁと感じてしまいますが・・・。

<グラフィック> 25

正に隙無し。今年最高の出来と言ってもいいグラフィックには感動しますネ。原画家がみつみ美里さんの功績は係り知れないでしょうが

やはりバックアップするスタッフの実力が相当高い証拠でしょう。ここら辺は並みのメーカーさんでは太刀打ちできない領域です。

<音楽/BGM> 25

久しぶりにゲーム単体のサウンドトラックが欲しいと思うくらい、聞いていて飽きないクオリティのBGMには感動の一言。特に生ギターを

使用したと思われる曲はゲーム中の良いアクセントになってました♪

<システム> 20

これについては幾つか苦言があります。まずゲームをウィンドウモードでスタートすると、前回の画面の位置からデフォルトの左上に

戻ってしまうのは何とかならないんでしょうか? (03'10/20現在修正ファイルなし) 私はフルスクリーンが嫌いなので逐一戻すのが

嫌なんですが・・・。

あと一つ挙げるなら、エンディング付近での降雪の演出。マウスクリックする度にコマ落ちするのも何とかして欲しいなぁ・・・。

<総 合> 70

判断に悩みました(汗)。なんせ、褒めるのもけなすのも簡単な作品に仕上がっていますので・・・。後述で書かせてもらいますが、

この「天12」はLeafさんの端境期的な作品だと私は思っていますので、買っても損は無いですよ。ただ、以前のLeafさんの印象で

長編モノを想像すると失敗します。今回は遊びも無かったですし・・・。

パッケージもシンプルに仕上がっているのでセンスのよさは感じますが、相変わらず通常のパッケージにDVDケースを入れるのは

無駄だと思うんだけどなぁ。

内容は定価どおりですので、それほど損はしないと思います。

<見 所>

やはりメインヒロインの「栗原 透子」が一番のお気に入りですよ。今時携帯も使えないおバカなところも好きですが、不器用でも

一生懸命に「好き」を表現しようとする姿は守りたくなりますね。ただ、好きになったのがこの主人公なのはちょっとなぁ・・・。

ストーリー的には「須磨寺 雪緒」ですかね。他のヒロインとは異なる世界観が美しかったです。エンディングだけ見れば

「榊 しのぶ」が良いですね。最後に雪の中に寝転ぶのが良かった。

あと何度も言いますが、グラフィックと音楽は業界最高レベルですので必見&必聴です〜♪


<後 述> 〜新生Leafはどこへ行く〜

今回の「天12」と前作の「うたわれるもの」を通して判断すると、Leafさんが今までの路線から違う方向性を目指しているのが

なんとなく見えてくる感じ。フルボイス仕様もその一環ではないだろうか。シナリオ面でも地に足の着いた作品になっているし、

技術力も格段に進歩してきているので次回作あたりはものすごいソフトを発表するんではないかと予想してます。

私も「天12」で再びLeafフリークとして復活しましたので、度肝を抜く作品を作って欲しいものです。

追伸

次回作は「こみパ」や「まじかるアンティーク」のようなドタバタラブコメ路線でお願いします、Leafさん。


03'10月20日 静流


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