てのひらを、たいように

( Clear )


ソフト評価 85
オススメ評価 95



〜 偉大な"友情"物語 〜


今年も残り僅かとなってきましたね。
このサイトを立ち上げて4ケ月が経過して沢山のゲームを積んでプレイして、サイトにレビューしてきましたが
サイトを立ち上げる以前のゲームは時間の都合上アップできないものが多くて、私としては心残りな作品が
幾つかありました。
そのような訳なので私が今年プレイして良かったと思ったゲームを2つレビューしていきます。
それが今回取り上げるClearさんが作った「てのひらを、たいように」です。

恐らく他のレビューサイトさんでも評価を聞いている方も多いとは思いますが、この作品は私の中では
かなりの高評価している作品です。
その独特なシナリオとストーリー運び、個性あるキャラクターの魅力が存分に発揮している内容は私を
うならせるに十分な出来でした。

何よりこの「てのひらを、たいように」の主題テーマである「友情」という青臭い(と言ってもいいでしょう)代物を
扱っているだけでも珍しい作品です
(よく考えると主題に「友情」というのは思いあたる作品はない)。
それだけに難しい題材とは思っていましたが、Clearさんは実に見事な手法でシナリオを作っていて私は途中で
何度も泣かされてしまった。

一応、知らない人のために書いておきますけど「友情」という主題が強く出ているのはこのゲームの2人いる
主人公の1人である明生(あきお)シナリオが特に表れています。

もう少し書きますと、最初の個別ヒロインのシナリオ本編である『てのひらを、』ルートが主題を完璧に
表現していて、尚且つもう一つのテーマである「伝承」も織り込んでいて『てのひらを、』ルートの中盤から
エンディング付近にかけての村人との対立
から強く熱く語られているのには文句なしに感動してしまって
泣けてしまう。(←ネタバレのため反転)

明生シナリオの主人公と再会した永久(とわ)と幼馴染の穂(みのる)美花(みか)の失われていた関係、
それぞれが抱えている問題、同級生であるまりあの執拗な嫌がらせの訳、担任の日高の不可解な行動の理由、
穂の母親である穂波(ほなみ)と永久との関係、村に伝わる「さとり」にまつわる伝承、そしてもう一人の主人公である
順哉(じゅんや)の葛藤。

上記しただけでも数えられないほどの感情や設定がシナリオに織り込まれている。
これだけでも凄いと思うのだけど、最後のエンディングには全てが昇華されハッピーエンドまで持って行った
シナリオライターの手腕は賞賛したい。

反対に順哉シナリオ明生シナリオを客観的に捕らえているシナリオでした。当然、明生シナリオに比べると
ボリューム不足は不定出来ませんが、それでも影から明生達を支え、時には恨まれるような行動をとっていた
理由が判って、最終的には必要なシナリオでした。

勿論、欠点や短所はかなり有りますが全体的にみてもそれ程気にならないものが殆どだったので許せるんですが、
明生シナリオの終盤で幾つか致命的な不具合があったのは残念だった。





▽ シナリオ・・・25 


いや〜、私はClearさんがこんなにも素晴らしいシナリオが書けるとは思ってもいなかったですよ(←失礼)。
Clearさんの作品は「Wing & Wind」「TALK to TALK」をプレイしてましたが、両作品ともオリジナリティのある
シナリオでしたが、イマイチ設定を生かせずに終わってしまった感じが強く「勿体無いなあ」と思っていました。

しかし今回の「てのひら〜」ではゲームの難易度、ストーリー展開、主題の生かし方が見事に成功していました。
やはり主題の「友情」というテーマのシナリオへの織り込み方が成功していたのが大きな勝因でしょう。

冒頭でも書きましたがシナリオが本編に入ってくる辺りからの書き方の巧さはちょっと例が無い位に巧かった。
序盤のわきあいあいしていた雰囲気から一気にシリアスな展開に持って行く過程が実に巧妙。
まあエンディング辺りはやや勢いがなくなってしまって残念でしたが、それでも主題を貫き、更に副題も絡め、
それでハッピーエンドに仕上げたのは評価出来ます。

さて個々のキャラクターもこの作品の魅力の一つです。
好きなキャラクターが殆どですので嫌いなキャラを上げた方が早いです。
当然、嫌いなキャラは日高ですがね。何故あんな既知の外が教師をやっているか理解できないよ・・・理由が
理由だけに理解できなくもないけど、結局勘違いしていたわけだし・・・。

好きなキャラではヒロイン達も良いのですが、脇のキャラが良い働きをしていたのが印象的。
この作品が成功したのはそこの所が良かったのが大きいと思っています。
やはり印象的なのは、意地悪キャラの蓮見まりあ嬢穂の母親のナイチチ穂波さんでしょうね。

まりあ嬢はとにかく序盤ではお金持ちの意地悪キャラを地でいってますが、終盤に入っていく過程で何故意地悪を
していたか、過去に何があったか判って一気に好感を持ってしまいました。ここでも「友情」というキーワードが
入っていて良かった・・・。

穂波さんと明生達との関係がただの母性とか友情というテーマで語られないほど深いものがあったのは
感動してしまった。
特に永久と初対面の時に名前を名乗っただけで素性が判った理由を知った時、「母親とは凄いものだ」
考えさせられました。勿論泣きましたが・・・。

声優に関しては文句なしに良かったですね。
好きな声でいえば、穂波さんとまりあ嬢、順哉シナリオのヒロインである更紗がお気に入り♪



▽ グラフィック・・・25 


原画担当のおーじさんの功績は偉大です。
私的にはかなり好みの絵ですので満場一致で満点です。
やはりナイチチ描かせたら天下一品です。

背景も問題ないですし、田舎の風景が良く出来てましたね。



▽ 音楽・BGM ・・・20 


これについても実に作中に合った曲に仕上がってますね。
私的に美花のポシェットから道具を取り出す効果音が好きです(笑)。



▽ システム・・・15 


システム上では残念ながら不具合が結構あって残念でした。
特にエンディングの辺りで不具合に遭遇したのには少々がっかりしましたよ・・・。
Clearさんの伝統(?)なのかもしれませんが、私がプレイした作品には必ず不具合が存在していました。
ここら辺を改善すれば良作メーカーになるんですけどね・・・。



▽ オススメ・・・95


やや絵的に好き嫌いがありそうですけど、「友情」恋愛ADVとしては他の追随を許さない出来栄えの作品です。

「家族愛」を語るなら「家族計画」男女間の恋愛なら「君が望む永遠」
そして「友情」を語るならこの「てのひらを、たいように」でしょう。

もしプレイしていない方には私はプッシュします。絶対にお勧め出来ますので。



▽ My Favorite's


やはり明生シナリオの本編で全てが語れますね。

シナリオの所でも書きましたが、まりあ嬢と和解するシーンは純粋に感動。そのあとでまりあ嬢と穂波さんが
体を張って
明生達4人を守るシーンは完全に感情移入してしまった・・・本気で泣きます・・・・・・。




▽ 後 述


やはり「友情」というオーソドックスな不変的テーマを初志貫徹したClearさんのスタッフの努力と技術の功績は
評価出来ます。
決して大ヒットしませんでしたがプレイした人なら、この作品の純粋なコア部分は感じていると思います。

私はこの傑作に出会えた事は幸せだと思っています。

03' 12月28日 静流




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